無名の運転手の日記 T

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2003年 5月

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日 付題 名
5月 1日(木) 本当に『偉い』のは・・・。
5月21日(水) 野暮・・・。
5月24日(土) 本当はドゥなの・・・?



  2003年 5月 1日(木)   本当に『偉い』のは・・・。
私はお仕事中によくカーラジオを聴いている。
「交通情報」ばかりではなくて、他の番組も聴くことが多い。
先日の放送は、とても感銘を受けたのでご紹介をさせて頂こうと思う。
深夜の番組であったが、ある女性作家のお父様のお話であった。
お父様は既に他界をされておられる。

明治生まれのお父様は、問屋の丁稚(でっち)奉公時代に大変な苦労をされていたそうである。
他の大勢の丁稚達と違っていたのは、常に「創意と工夫」で効率良くお仕事をされていた点である。
例えば、食事の時などは自分の茶碗には少な目に盛りつけ、先輩達のお茶碗には「てんこ盛り」に盛りつける。
先輩達はこれに満足して、喜んでご飯を食べている。
しかしここが味噌で、実は自分だけは早く「おかわり」が出来て二杯目にありつくことが出来る。
その時には自分の茶碗もてんこ盛りにする。
一方、先に「てんこ盛り」にされた先輩達が「おかわり」をする頃にはおひつの中は既にカラッポ・・・。
これが良いことか悪いことかは兎も角、これも「創意と工夫」の一つの表れであることは確かである。
仕事の上でも常に斬新なアイディアを出して、売り上げを伸ばしていった。
その努力と成果が大旦那に認められ、やがて店を全部任されるようになり、そしてついには独立して店を持ち、大きな財をなして「資産家」と言われる程までになった。
そうなると時の政治家や大臣達が放っておかない。
色々と寄付を申し出てくるが、お父様は快く寄付をされていたそうである。
時の大臣がお父様にペコペコと頭を下げる姿を見て、娘は父親に言ったそうである。

「お父様は本当にお偉い方なのね。だって大臣が頭を下げるほどの寄付がお出来になるんですもの・・・。」

娘からその言葉を聞いた父は、急に真顔になってこう言ったそうである。

「それは違う! 私は今は人から『金持ち』と言われている。『金持ち』が大金を寄付するのは、実は簡単なことなのだ・・・。だからそれは決して『偉い』ことでも何でもない。当たり前のことなのだ。それよりも本当に『偉い』のは、貧しい中でも僅かの金子を工面して、寄付をして下さる方であり、そのお気持ちを『尊い』と言うのだよ・・・。」

女性作家は、その時の父親の顔が忘れられないそうである。

この放送を聴いた後で、先日、「日本ユニセフ」から「イラク緊急募金」を呼びかけるDMが自宅に届いた。
挨拶文を読んでみると電話帳から無作為に抽出して呼びかけているそうである。
今の私にはホンの僅かの金子しか工面が出来ない。
でも、これっぽっちでも、409人のイラクの子供達の命が救えるそうである。

キーワード「ユニセフ」で、「日本ユニセフ」のホームページを検索することができます。
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  2003年 5月21日(水)   野暮・・・。
午後2時を少し過ぎた頃である。
大きな交差点を左に曲がると、年輩の男性がこちらを向いて手を挙げておられる。

「どちらまで参りましょうか?」
「千葉の○○トンホテルへ・・・。」

都内によく似た名前のホテルが有るのは知っているが、千葉の○○トンホテルは分からない。
(もしかしたら地方の方で、訛が強くて私が聞き違えているのかも知れない・・・)と不安になった。
もう一度行く先のホテル名を確認してみると、訛っているのではなくて、間違いなく千葉の○○トンホテルであることが判明した。
そのまま首都高速に乗って、千葉方面を目指す。
車中でお客様が話しかけて下さった。

「いつもは電車で行っているので、ここからの行き方は私もよく分からないのです。」

付近の目標ポイントを伺ったところ、過去に何度か行った場所の近くであることが判明した。
これでもう安心である。
お客様との世間話が始まった。
話の中で、お客様はしきりに「野暮」という言葉を使われる。

「私は野暮な人間とは話をしないのです。」

このことを更に詳しく私に説明して下さった。
つまり、察しの悪い人間とは幾ら話をしても無駄なので、野暮だと思ったら途中で話を打ちきることにしているそうである。
例えば、電車の中で自分が座っている席をお年寄りに譲るには、黙って席を立って離れる。
「おばあさん、どうぞお座り下さい」などと口に出して言うのは、野暮なことだそうである。
自分が立った座席にサッと若者が座ったとしたら、それはそれで仕方がない。
(野暮な若者だ)・・・と思うだけである。

@自分は何気なく座席を立ち上がって離れる・・・。
A周りの方はお年寄りが座ってくれることを願うだけで、声をかけないで見守っている・・・。
Bお年寄りは、微笑みながら空いた座席に座る・・・。

これが野暮でないスマートな「思いやり」だそうである。

「小さい頃から、そうするように私は親から躾けられてきました。」

高速を降りてから、道を間違えてしまった。
都県境の川を渡る橋の測道に入ってしまったので、川縁に出てしまった。
お客様はこう仰った。

「大丈夫ですよ。私は急ぎませんので・・・。」

こちらは冷や汗がドッと出てきたが、ユーターンして都県境の橋を渡った。

「これで、次からは大丈夫ですよね。」と笑顔で仰って下さった。
目的地のホテルに無事に到着。

「お釣りは結構です。レシートを下さい。」

 「ありがとうございます。私からはたった1枚のレシートしか差し上げられませんが・・・。」

「野暮なことを言わないで下さいよ。」

 お客様は笑いながらレシートを受け取られた。
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  2003年 5月24日(土)   本当はドゥなの・・・?
夕闇迫る渋谷の「公園通り」で信号待ちをしていると、後ろのガラスをトントンと叩く音がする。
振り返ると、女性がお二人立っておられる。
「近くなのですが・・・。」とご乗車をお申し込みになった。
走り出した車内の後部座席からは、聞き覚えのあるお声がしている。
特徴のある話し方は、私がいつも聞いているラジオから流れているお声であった・・・。
私は意を決してお尋ねしてみた。

 「大変失礼なのですが、お客様は『本当はドゥなの』の方でしょうか?」

私の真後ろの女性が驚きの声をあげる。

「エ〜〜ッ どうしてお分かりなのですか?」
 
 「いつも番組でお声を聞かせて頂いているので、もしかしたらと思って・・・。」 

NHK−FM放送で毎週土曜日の午後2時から放送されている番組である。
以前は『本当はドゥなの!?』というコーナーが有って、ゲスト出演者に疑問点の真相を尋ねるのであるが、そのフレーズが大変に面白かった。
全く不思議であるが、ここ数日間はお仕事中にこのフレーズが頭の中を駆け巡っていたのである。

「私はピアノが好きで、絶対音感もあるのです・・・。人の声もすぐに聞き分けられるのです。」

どさくさに紛れて発した、この無責任極まる適当な言葉が、翌日の番組で紹介されようとは・・・。

翌日の土曜日は明け番であった。
前日の女性パーソナリティの番組を聞いてみようと、午後2時にNHK−FMにチューニングをあわせると、番組冒頭で流れてきたのは私の名前であった!!!

「昨日、渋谷でタクシーに乗ったら、運転手さんが『お客様は【本当はドゥなの】の方ですか?』って聞くのよ。」
そして私の実名が大きな声で流れた・・・。

 「運転手さんは『私はピアノが好きで、絶対音感もあるのです』って仰っていたの。」
 「私が『ゲストにはどんな方をお招きしたらよいでしょう』ってお尋ねしたら、『ピアニストをお願いします』って・・・」

続いて番組へのリクエストやメッセージを募集する案内が流れた。
これはもうFAXをするしかない。
突然にお声をかけて失礼をしてしまったお詫びと、フジ子・ヘミングの「トロイカ」をリクエストした。
しばらくすると、番組内で私のFAXが読み上げられて、スタジオ内は大爆笑・・・。
昨日のタクシー運転手が、番組にFAXをくれたと言うことで、パーソナリティの方は大変に喜んで下さった。
そこでまた私の実名が呼ばれたのである。
 
色々な方が色々な場所でこの番組を聞いてくれて、本当に嬉しいと仰って下さった。
そしてこのように、メールやFAXを通じてリスナーの皆さまとこころを通わせることが出来たことが嬉しいとも・・・。
今は終わってしまった「本当はドゥなの!?」のコーナーも特別に再現をしてくれた。

私がリクエストした「トロイカ」は流れなかったが、他の方がリクエストされた素敵な曲を沢山聴くことが出来た。

そして又、不思議な出会いが一つ増えた・・・。
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