Diary 2005. 3
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3月5日 (土)  「無名の運転手の日記」をリニューアル

「憂愁の部屋〜無名の運転手の日記」をリニューアルいたしました。
それに伴い、2001年5月〜2005年2月までの日記を「無名の運転手の日記 T」[PART T]と改称いたしました。
2005年3月からの日記は「無名の運転手の日記 U」[PART U]といたします。
[PART U]からは画像のUPが可能となりました。

[記念日の花]

20050305-1.jpg



3月15日 (火)  ぐるぐる・・・。

深夜になって日付が変わった頃、コンビニのある交差点の前で信号待ちをしていると、若い女性がお辞儀をしながらこちらに来られてご乗車をお申し込みになった。
「おそれ入りますが○○市まで行って頂きたいのですが・・・。申し訳ございません。」
私が車を発進させると女性はこのように仰った。
「まことに申し訳ありませんが、私、夜の食事をとっておりませんので、先ほど買いましたパンを車内でいただいても宜しいでしょうか?」
そうして女性は窓を少し開けてからパンをお召し上がりになられた。
その後のお客様との会話の中では「申し訳ございません。」が必ず付け加えられていたのであった。
私が類推するに、このお客様は普段、会社でクレーム処理を担当されている方ではなかろうか・・・と思えるようになってきた。
やがて○○市の目的地に近付くと、お客様がこのように仰ったのである。
「あら、困ったわ。料金が前回に利用したときと違っています。前回はこれよりも2,000円ほど多くかかっているのですが・・・。」
深夜を過ぎていることでもあり、お客様を一刻も早くご自宅にお送りしたいという思いから、いわゆる「抜け道」を使って最短距離で走行していたのである。
幹線道路は工事で大渋滞しており、私は渋滞を避けて裏道を走行したのであるが、前回の運転手は渋滞した幹線道路を使ったようである。
するとお客様はこのように仰った。
「運転手さん、まことに申し訳ありませんが、前回と料金が同じになるまでしばらく自宅の周りをぐるぐると回っていただけないでしょうか・・・。前回と料金が違うとタクシー料金を会社に請求するときに、前回は違う場所で遊んでから車を利用したのではないかと私が疑われてしまいますので・・・。」
これは嬉しいような悲しいようなお申し出である。
折角、安く早く目的地に到着したのであるが、お客様からクレームが付いてしまったのである。
走行したコースやその日の道路状況によって、料金は多少違ってくることをご説明申し上げたが、女性は「まことにおそれ入ります。申し訳ございません。」を繰り返すばかりであった。
やむなく私は女性のご自宅の周りをぐるぐると回り始めた。
目が回るほどぐるぐると回ってようやく差額が500円程度になった頃、お客様からのお許しが出た。
「運転手さん、どうもありがとうございました。」
このことは私にとって初めての体験であった。
いまだかつて安く早く到着して料金にクレームが付いたことは無かったのである。
本当に世の中には色々な方がおられることを、あらためて実感したのであった。
私は目眩を感じながらこう呟いていた。
「ぐるぐる」・・・。


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