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No.350  2008.10/6 百合の香りに包まれて・・・。
発言者: たかし
発言日: 2008 10/07 13:08
発言元: IP=proved
 数日前から心配されていた雨も《フジコ・ヘミング コンサート》が【江戸川区総合文化センター】で開演される時刻に間に合わせたかのように曇り空へと変り、会場に集まるファンの方達に安堵の息を吐かせてくれた。
 開場の時刻は前回と同じでも、10月になると流石に迫り来る闇に包まれて会場はオレンジ色の街頭に照らされていた。

 入り口でプログラムを受け取ると、今回の公演には大きなサプライズというプレゼントが用意されていたことに気付き、とても嬉しくなった。
 これまでに何度もフジコさんの演奏会に伺っているが、《連弾》がプログラムに含まれていたのは初めてである・・・。
 そのパートナーのお名前は「大月礼子」さんである。
 この方はフジコさんの従兄弟の娘さんであり、既に多くの方がお名前を存じ上げていることと思う。
 フジコさんのお母様、大月投網子さんからピアノの手ほどきを受けておられることから、連弾のパートナーとして登場されるのは極めて自然であると思われた。

 第1部はスカルラッティのソナタから始まったが、軽快なテンポとリズムで進行するこの楽曲は、開場から開演までの間に少し冷えてしまったピアノを暖める効果があるのではないか・・・と思われた。
 鍵盤やハンマー、ペダル等の可動部分を演奏者の意のままにスムーズに動かす為にも、この楽曲を第1曲目に演奏することは色々な意味で大きな効果があると思われた。
 第4曲目のショパン ワルツ 第1番 変ホ長調 《華麗なる大円舞曲》の演奏が、抜けるような明るい音色になったことで、ピアノが完全に立ち上がったように思われた。
 追加曲目として演奏された《別れの曲》では、余韻が特に印象的であった。
 今回の演奏ではどの曲も「余韻」がとても大切にされているように感じられた。

 ベートーヴェンの《テンペスト》が始まると、エアコンの風がステージの上に飾られた百合の香りを運んで来た。
 第1部のご衣裳は明るい水色で、正確には何色と表現して良いのかよく分からない。
 鳥のカワセミが、このような翡翠(ヒスイ)色をしていたように思う。
 翡翠色のご衣裳が、白やピンクの大きな百合の花たちと鮮やかにステージを飾っている・・・。
 第一楽章が始まってまもなく、私の座席から右前方に飾られた百合の花に目をやると、若い女性が感涙で濡れる頬を指で拭っている横顔が見えた。
 百合の香りに包まれながらその光景を見ていた私は、ある種の感動を覚えた。             
    
 第2部は大月礼子さんとフジコさんとの連弾である。
 お二方による連弾の演奏は、とても厚みのある音色と迫力でピアノを唸らせていた。
 特にドヴォルザークの《スラブ舞曲》は、大変な迫力で私を驚かせた。
 続くブラームスのハンガリア舞曲 第5番の連弾では、普段のフジコさんお一人のときの演奏とはまた違った、連弾ならではのスケールが一回り大きな《ハンガリア舞曲》であった。
 そこで追加曲目として聴衆に告げられたのは、映画「渇いた太陽」のテーマ曲《ひき潮》である。
 このことは私達にとって、二重のサプライズであった。
 2003年10月17日にフジテレビでスペシャルドラマとして放送された「フジ子・ヘミングの軌跡」では、忘れられない名シーンがある。
 フジ子役を演じられた菅野美穂さんと、母上である大月投網子役の十朱幸代さんが《ひき潮》の連弾をされていたが、放送直後から反響が大きかった曲である。
 あれから幾年の年月が過ぎて、こうして眼前のステージ上で大月礼子さんとフジコさんが、同じ《ひき潮》を連弾される光景を見ることが出来ようとは、これまでまったく考えたことも無かったのである。
 お母様の投網子さんも、目を細めてステージ上のお二人をご覧になっていたことと思う。
 続いてブラームスの《ワルツ》も追加曲目として演奏されたのであるが、この耳によく馴染んでいる楽曲が、ブラームスの《ワルツ》であったことを知らなかったことにも大きなサプライズを覚えた・・・。

 第3部の演奏が始まる前に、フジコさんは聴衆にこう告げられた。
 「飛行機から降りたばかりでうまく弾けるかどうか・・・」
 フジコさんは日本に到着してしばらくの間は、いつも飛行機酔いに苦しんで来られた経緯があり、この度は飛行機を降りてから最初の公演となる。
 然しながら演奏が始まるとそれは杞憂であり、フジコさんのご謙遜と思われた。
 万が一多少のことがあろうとも、私達フジコ・ファンにとっては、それは大きな問題ではないように思われる。
 そういう状況でも精一杯の演奏をされるフジコさんのお姿に、また大きな感動を覚えているのであるから・・・。
 実際、私が聴いてきた中でも今回の音色と演奏は、今までの中で一番良かったと思う。
 フジコ・ヘミングがフジコ・ヘミングでいる限り、新しい一日の訪れと共にその音色と演奏は進歩を続けているのだと思う。
 《ラ・カンパネッラ》の演奏が終わると多くの方がスタンディングオベーションをされた。
 私も立ち上がって力いっぱいの拍手を送った。
 ステージの前では小さな子供たちが飛び上がって小さな手を力いっぱいに叩いている。
 フジコさんは、子供たちとも握手を交わして笑顔になられた。

 最後にアンコール曲として、ドビュッシーの《月の光》を演奏された。
 そしてフジコさんは、聴衆に手を振りながらステージを去っていかれたのである。

 弟・大月ウルフ氏は今回も山高帽に燕尾服の姿で大活躍をされていた。
 まったくアットホームな雰囲気の中で楽しいひと時を過ごすことが出来たのは、ウルフ氏のご尽力によるものだと思う。
 江戸川区総合文化センターでの次回の公演が楽しみである。

           たかし     〜 完 〜

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349:2008.10/6 【江戸川区総合文化センター】 ふたたび [たかし] 10/07 04:06
 └350:2008.10/6 百合の香りに包まれて・・・。 [たかし] 10/07 13:08<-last


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