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No.386  時代とピアノ・・・。
発言者: たかし
発言日: 2011 07/14 12:42
発言元: IP=proved
 1968年(昭和43年)4月、東京文化会館でリサイタルが開かれた。 演奏者は田中希代子で曲目はムソルングスキーの組曲「展覧会の絵」他・・・。 40度の高熱と共に演奏を終えた田中希代子氏、最後の公演であった。 「展覧会の絵」はフジコさんがこの度の東日本大震災チャリティコンサートで演奏された「大曲」である。 私は今まで随分と多くのフジコ・サウンドを浴びて来た。 フジコさん独特の演奏スタイルを見る度にどうしてこのような音色が出せるのか不思議でならなかった。
 今般、長年の「不思議」を紐解いてくれたのは萩谷由喜子:著書「田中希代子〜夜明けのピアニスト〜」の一冊である。 私は2001年に田中希代子氏のベートーヴェンをCDで聴いて驚愕していた。 田中希代子氏のことを何も知らなかったので、萩谷氏の著書を購入するに至ったのである。 本書が発売されたのは2005年であるから、2001年当時の私は驚きを持ってCDを聴くに留まっていた。
 私は田中希代子氏の生い立ち等についての知識を得る目的で本書を手にしたのであるが、本書はもっと沢山の「不思議」を解き明かしてくれたのである。
 楽器は時代の変遷を経て改良を重ねてきた。 ピアノの奏法も時代の変化と共に指先奏法からハイフィンガー奏法、そして重力奏法へと変わって行くのである。 本書はハイフィンガー奏法を忠実に守った女流ピアニスト「久野久」を紹介している。 それはまるで宮本武蔵の人生と酷似していた。 宮本武蔵は剣の達人であったが、時代はもう戦国時代ではなかった。 久野久は海外で滞在先のホテルの屋上から身を投じた・・・。
 現代のピアニストは重力奏法を基調として、それぞれが自己の奏法を研究加味して独特の音色を出しているそうである。 ハイフィンガー奏法を絶対的に否定せず、曲のあるパートではこの奏法を用いるのもまたテクニックの一つであるという。
 田中希代子氏の人生を知りたかっただけの私に、本書は沢山のメッセージを届けてくれた。 膠原病のこともよく知らなかった私であるが、田中希代子氏は壮絶なる闘病生活の中で「私は頑張りません」と仰っていたそうである。
 2011年3月11日に時代は変わった。 少なくともフジコさんの音色は変わった。 フジコさんの思いと聴く者の思いとが完全に一致している。 7月の公演チケットをお持ちの方は極めて幸運である。 この時代を奏でるピアニストの演奏を生で聴く事が出来るからである。 それは「聴く」というよりも「魂の交信」と言うべきなのかも知れない。

 フジコ・ファンの方は是非、本書を一読されることをオススメします。

 「フジコ・ヘミングを語るファンのホーム」 たかし  

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